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肩が挙がらない原因とその対策

1. 腱板損傷(ローテーターカフの炎症・断裂)

肩の関節を安定させ、スムーズに動かす「腱板(ローテーターカフ)」と呼ばれる筋群(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)が炎症を起こしたり、断裂したりすると、腕を上げる動作が困難になります。特に 棘上筋(きょくじょうきん) は腕を外に上げる(外転)際に重要で、損傷すると初動で強い痛みを伴います。

2. インピンジメント症候群

肩関節を動かす際に、肩峰(けんぽう) や烏口肩峰アーチ(うこうけんぽうアーチ)の下で腱板や滑液包が挟まれて炎症を起こす状態です。特に肩を60°~120°の範囲で上げる際に痛みが強くなります(ペインフルアークサイン)。

3. 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

肩関節を包む 関節包 や靭帯が硬くなり、炎症を伴うことで関節の可動域が制限されます。炎症期にはズキズキとした痛みがあり、拘縮期に入ると可動域が極端に制限され、腕を上げられなくなります。

4. 肩甲上神経の圧迫や損傷

肩甲上神経(けんこうじょうしんけい) は棘上筋と棘下筋を支配する神経で、圧迫や損傷を受けるとこれらの筋肉が機能低下し、腕を挙げにくくなります。神経障害の場合、筋萎縮も起こることがあります。

5. 関節のアライメント異常(肩甲上腕リズムの崩れ)

肩関節の動きは 肩甲骨と上腕骨の連動(肩甲上腕リズム) によって成り立っています。肩甲骨の動きが悪いと上腕骨が正常に動かず、無理に動かすことで痛みや炎症が発生します。特に長時間のデスクワークや猫背姿勢があると、肩甲骨の可動性が低下しやすくなります。

6. 鎖骨・胸郭の問題

肩の動きには鎖骨や胸郭(肋骨)の可動性も関係します。鎖骨の動きが制限されると肩の可動域が狭まり、無理に動かすことで痛みが発生することがあります。また、肋骨の歪みがあると、肩の可動域にも影響を及ぼします。

まとめ

肩が挙がらない原因は 筋・腱の損傷、関節の炎症、神経障害、骨格の歪み など多岐にわたります。
早期に適切なケア(可動域訓練、筋膜リリース、姿勢改善)が重要です。